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男から女だけじゃない (#MenToo)

先日、有名ブロガーのはあちゅうが以前電通に在籍していた時に受けたセクハラ・パワハラの被害について、BuzzFeedが取材した記事をきっかけに、ハッシュタグ#MeTooがバズった。

www.buzzfeed.com

www.excite.co.jp

 

自分も以下のツイートをした結果、予想以上の反響があった。

 

こういった問題がクローズアップされるのはいい傾向であり、もっと広がるべきである。しかし、ここでいうセクシュアルというのが「男→女」に限定されているのに違和感を感じた。

 

男に対しても起こっているということを認知している人はまだそこまで多くないのではないだろうか。実際に以下のような反応もいただいた。

この国は女性が職場などでの社会的立場が弱く、働きにくい社会であることは否定のしようがない。日経新聞が2016年に発表した企業の女性管理職比率はたった6.6%*1
、言い換えると男性管理職比率は93.4%である。
その結果、男尊女卑のイメージが当然強くなり、男もセクハラ・パワハラの被害者になりえることがまだ認知されにくいのだろう。

 

男から女だけじゃない、#MenToo

性的被害は「男→男」でも起こりうるし、当然「女→男」も裁かれるべきだ。

 

そう思ってアメリカのメディアに目を移すと、すでに男性が被害にあったハラスメントについて告発する#MenTooの動きが広まっていた。実際に数日前には、アンドレア・ラムジーという女性政治家が12年前に部下に対して行ったセクハラにより、今回の議会の選挙戦から撤退することとなった。

 

男性が権力を振りかざされハラスメントを受ける事例は、西洋諸国だけで起きる出来事ではない。忘年会シーズンである今、日本では毎日発生している。

「新人は飲み会で芸をしないと」

「脱ぐのは基本だよ」

といったセリフを何の躊躇もなく若い男性社員に言うお偉いハゲがどれだけいることだろう。

そして残念ながら、日本に支社を置く外資系企業でも起こり得る。実際に自分も以前飲み会で「お前いいカラダしてんだからお姉さんたちを喜ばせろ!」と女性の先輩社員にプチプチとシャツのボタンを外され、他の社員にも身体を触られた。

外資系企業ではその辺りのハラスメントに対するマネジメント層の問題意識は高い。筆者の場合は翌日事情を知った外国人の上司から呼び出され、「この時代女性に限らず男も性的被害に遭うんだからな。お前、大丈夫か?」と心配され、シラフになった先輩社員にもものすごい勢いで謝られた。

幸い、筆者は筋トレで鍛えた超ポジティブ脳筋メンタルがあったため、脱がされた時はいい気持ちはしなかったが、みんな楽しめたならまあいいかと思うことができた。

しかし、忘年会などで裸踊りなど死んでもやりたくないし、そういった男性社員は少なくないと思う。男なら裸になるのは抵抗がないはず、というのは残念ながら主観的で、前時代的な考えである。

 

 

上記の自分の経験以外に、今回のムーブメントで想起させられたのが、非常に優秀なトライリンガルのエンジニアで、筆者が新人時代に良くしてもらった、LGBTの先輩に対するハラスメントだ。

その先輩はゲイであることを、日系企業から転職してきた中年・年配の社員には言っておらず、自分を含めた若手にだけカミングアウトしていた。何も知らないおじさん社員たちは躊躇うことなく、

「お前はまだ女一人も捕まえられないのか」

「そんな女々しい髪型と服装してるからいけねえんだよ」

などと上から目線でモノを言う毎日。先輩は「気にしてないよw」と最初は笑っていたが、結局耐えかねて他の国のオフィスに異動したいと言い出した。事情を知っていた彼の上司は、優秀な部下を手放すことを惜しみながらも、人事と相談し、他国のオフィスに送り出した。

(読者の中には、なんでその上司と人事がおじさん社員たちに何も言わないんだ?!と思う方もいると思うが、そこはカミングアウトする相手は選びたいという先輩の希望もあったため、最終的に異動という形になった。)

 

一流のグローバル企業とされる会社で、このようなセクシュアルマイノリティの方が職場を変えなければいけなくなったことは残念で仕方がない。日系・外資問わず、日本に拠点を置く企業のハラスメントに対する意識向上は、優秀な人材を獲得し、外部へ流出を避け、引き留めるために必要不可欠だ。

 

ハラスメントは「男→女」に限らず「女→男」「男→男」もある。しかし、女性から男性への性被害はいい思いしただろと言われ、ゲイの男性に対するハラスメントはもはや気づかない間に起こってしまっている。

日本男児たるもの裸踊りの一つはやれ、というような雰囲気が蔓延る中、男性が #MeToo を使って声を上げるのは女性よりハードルが高いのかもしれない。

 

だからこそ、今の日本には#MenTooが必要なのではないだろうか。

 

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